ひな人形 五月人形の増村人形店

小西 清甫

このお雛さんはどんな子の元に届き、どう飾られるのか? と想像しながら手を動かすのが楽しい。わくわくしてくる

遊び心いっぱい。雅な京雛から独創的な作品まで変幻自在

小西 清甫

京都市下京区五条。黄緑の看板が目印の店先には、蹴鞠で遊ぶ子どもたちの人形が飾られています。おぼこく、今にも蹴鞠を蹴り上げそうな姿に見ているだけで顔がほころびます。

「子どもの成長は、親にとって何ものにも代えがたいよろこびです。人形も童心を形どったものが好きで、どんな子の元に届き、どう飾られるんかな?と考えながら手を動かすのが楽しい。自分がわくわくしてこそ、誰かを笑顔にすることができると思います」

と、ほがらかな小西司郎さん。
手がける作品は、王朝宮廷を再現した伝統的なものから遊び心いっぱいの創作人形まで変幻自在。

創業は明治22年、初代・奥山弥三郎さんが人形づくりをはじめ、人形店を開いたのが始まりです。 昭和62年、小西司郎さんが四代目となりました。
130年に渡る歴史と技が認められ、平成13年には京都府の「京の老舗表彰」を受けています。
日本の伝統文化と共に、のれんを紡いできた数少ない老舗です。

 

やっぱりうれしい「十五人揃」の七段飾主役を際立たせるためには、個性的な脇役がいる

雛飾りは今の時代を反映しています。
住環境の変化からか、男雛女雛一対のシンプルに飾る傾向になってきました。
「十五人揃の段飾りには、それぞれ役割があるんですよ。
人は支えあって生きているように、主役を際立たせるためには、脇役がいりますやろ。
三人官女はお世話係。五人囃子は、能楽で宴を盛り上げてね。警護役が左大臣・右大臣。
仕丁(しちょう)は庭掃除や雑用などをやってくれる係でとても表情が豊かです。
なかには魚釣りをしているのもあって、ええよね。お雛さんは『お祭り』でしょ。
だから昔は、よく人形で遊ぶ姿を目にしたもんです。もっとお雛さんで遊んで日本の伝統文化を感じてほしい」。

史郎さんは、京人形商工業協同組合の40周年で「仕丁の休日」という題で魚釣りをモチーフにした創作人形を出展。
そのユーモラスな作風は業界をも魅了します。

かつて小西史郎さんは、師匠と慕う人形司の工房を訪れた際、人形の腕を折り曲げる「かいなおり」という作業を目にしました。
「最後の仕上げとなるかいなおりを一切の道具を使わず、手業ひとつですっと仕上げはったんです。思わず、目を見張りましたね」と、尊敬の念を語ります。
そして、憧れだけで終わらせず、自身も鍛練を重ね、見るも鮮やかな手技を身につけました。

小西清甫の仕事ぶりは、まさに総合芸術です。仮に左右対称であっても、組み合わせて見れば違和感が生じることがあります。
そのために、顔立ちや着物の柄、雰囲気など全体のバランスを見ながら美しくなるように整えていく感性と技が求められます。
さらに、どう飾られるのか?にまで思いを馳せるそうです。
京人形司としての経歴は輝かしく、京の名工(京都府伝統産業優秀技術者賞)、伝統的工芸品産業功労者表彰を次々と受賞。

平成27年には瑞宝単光章勲章まで受けています。
しかし、こうしたことに満足することなく、常に新しいものから学ぼうとしています。
目標は童心を形にすること。いつも誰かの笑顔が生まれることを願っています。

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プロフィール

小西清甫のあゆみ

創業は明治22年、初代・奥山弥三郎が人形づくりを始める。
昭和39年に奥山健二郎が二代目を継承。昭和43年、小西清一が三代目を継承し、昭和61年、通商産業大臣表彰、伝統的工芸品産業功労者表彰を受賞。その翌年に現代表の小西司郎が四代目を継承。平成13年には京都府の「京の老舗百年優良店」の認定を受ける。平成19年、小西司郎が京都府伝統産業優秀技術者賞、翌年に伝統的工芸品産業功労者表彰を受賞。平成27年には瑞宝単光章を授章する。