ひな人形 五月人形の増村人形店

大橋 弌峰

「たかが人形ですけど、むずかしいもんでっせ」 明けても暮れても人形のことを考える、京の名匠

磨き抜かれた技を受け継ぐ二代目有職人形司

磨き抜かれた技を受け継ぐ二代目有職人形司

京都市上京区千本通出水。平安京のメインストリート・朱雀大路に起源する通りに工房はあります。
暖簾をくぐると、雅やかな大橋弌峰の人形がお出迎え。
気品にみちた有職雛は、まるで平安絵巻のごとく公家の装束を表しています。さらに立雛は、「今にも歩き出しそう」と称されるほどリアリティがあり、見るものの心を惹きつけます。

京都鱗形屋九代目中村太兵衛氏に師事した初代は、京人形一筋に60余年。
磨き抜かれた技を二代目へと受け継ぎました。
元来、雛人形は天皇・皇后のお姿をかたどったものであり、御所の膝元であるここ千本出水ではひとかたならぬ思い入れがあります。

「明けても暮れても、毎日人形の事ばかり考えてます。たかが人形ですけど、人さんから誉められるようなもんを作るのは、むずかしいもんでっせ」
と、当代の大橋弌峰さん。繊細かつ大胆。有職故実に基づき、古典雛の復元から趣向を凝らした変わり雛まで精力的です。
京都御所内の迎賓館にある和の晩餐室・桐の間に『朱雀大路大極殿雛』を展示するなど、海外からの要人をもてなす場でも華を添えています。

京のお雛様は気品がすべていにしえの雅を今に伝える

「さすが京都の大橋さん」と言われるのには、理由があります。工房では、すべての職人がすべての工程を行えるように修行を積んでいます。これは、型紙作りから裁断、縫製、着せ付け、仕上げの「かいな祈り」まですべての流れをわかったうえで分業することで微差にこだわり、より人形の完成度が高まるからです。

「下仕事から気を抜かず一生懸命にやるのみです。真似からはじめても、ひとつずつ自分のものにしていきたい」と、伝統工芸士である息子の大橋義之さん。尊敬を込めて「大将」と呼ぶその姿勢から、きびしい師弟関係がうかがえます。

弌峰のお姫様は、袖口の美しさに定評があります。一枚ずつ丹念に仕立てることにより生まれる袖の直線的なラインは、素材の良さをも引き出しています。品よく柔らかく、多くの生地が重なった十二単をすっきりと仕上げるには熟練を要します。

 

当代・大将のモットーは、「ええもんを見て、目を肥やせ」。
一流の作品を生み出すには、作り手が“ほんまもん”を知らないといけない。
日本古来の貴重な人形はもちろん、四季折々に移ろう自然や京料理からもインスピレーションを受けています。
大橋弌峰のお雛様の美を追求するひたむきな姿勢は、これからも変わることがありません。
小西清甫の仕事ぶりは、まさに総合芸術です。仮に左右対称であっても、組み合わせて見れば違和感が生じることがあります。
そのために、顔立ちや着物の柄、雰囲気など全体のバランスを見ながら美しくなるように整えていく感性と技が求められます。
さらに、どう飾られるのか?にまで思いを馳せるそうです。

京人形司としての経歴は輝かしく、京の名工(京都府伝統産業優秀技術者賞)、伝統的工芸品産業功労者表彰を次々と受賞。 平成27年には瑞宝単光章勲章まで受けています。
しかし、こうしたことに満足することなく、常に新しいものから学ぼうとしています。
目標は童心を形にすること。いつも誰かの笑顔が生まれることを願っています。

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プロフィール

大橋弌峰(おおはしいっぽう)のあゆみ

古典京雛の名匠、初代大橋弌峰を父にもつ二代目。
京都鱗形屋九代目中村太兵衛氏に師事した初代は、60余年にわたって京人形にこだわり磨き抜かれた技を二代目大橋弌峰へと伝授。

平成元年、経済産業大臣指定伝統工芸士認定。平成2年、節句人形工芸士認定。平成13年、節句人形工芸士会最優秀賞受賞。平成22年、瑞宝単光章を受章する。京都を代表する人形司のひとり。